啐啄同時

 禅の言葉に「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉があります。「そつ」は、ひなが内側からたまごの殻(から)をつつくこと。「たく」は、親鳥が外側から殻をつつくことを言います。

ひなは、自分のくちばしで、たまごの殻をつつき、生まれてきます。 少しずつ時間をかけて、自分で自分の殻を割っていく…。親鳥は、子どものペースに合わせて、それを応援する意味で、外から 殻をつついてやる。
ひながまだつつこうとしていないのに、親鳥が先につついて、殻を破ってしまっては、ひなは、生まれることができません。ひなと親鳥のタイミングが合うと、ひながスムーズに生まれる(たまごから出てこられる)という意味なのです。
「早すぎてもいけない…」「遅すぎてもいけない…」その親子の タイミング・・・。 つまり、子どもが「出よう」としている時を見計らって、親がサポートする。そのタイミングが大事だということです。

子どもは一人一人違います。その子の「ペース」に合わせて、親も関わる必要があると思います。子どもが自分でやろうとしているのを待ちきれず、先回りして親がついつい手助けしてしまうことを避けたいものです。なぜならば、そうしていると、子どもの自主性が育たないからです。

「待つこと」「見守ること」の大切さ…。
子どもが、本当に「助けてほしい」「手伝ってほしい」「見てほし い」と思うその時を いかに見逃さずにキャッチしてサポートするか…。それは、子どもが「幼児」であろうが「中学生」であろうが、同じではないでしょうか。
子どもは本来、「自分で伸びていく力」を持っています。関わり方で、その力を伸ばすこともできるし、つぶしてしまうこと もあるのです。
私たち大人は、焦らずに、大らかに子どもを見守ることを、心に留めておきたいものです。 

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